ヤドカリ




汽水域まで侵入するヤドカリ類の種類は、決して多くはないですが、
コブヨコバサミなど飼育に適した個性的な種類もいます。




ユビナガホンヤドカリ
ユビナガホンヤドカリ(伊勢湾流入河川産、6月)

ユビナガホンヤドカリ

海域汽下汽上淡水陸上

伊勢湾流入河川他、各地で確認。
河口近くや内湾の岩場、干潟を問わず様々な環境で見られる。
本州で河口域に出現する小型のヤドカリはほとんど本種である事が多い。
上の個体は海からの遡上を伺わせる小型のツメタガイを背負っていますが、河川で見られるものは、
タニシやへナタリガイ類を宿に使用している事も多いです。
見られる環境から、本種は塩濃度の低下に対してある程度の耐性がある事を伺わせます。





ツメナガヨコバサミ
ツメナガヨコバサミ(沖縄島、7月)

ツメナガヨコバサミ

海域汽下汽上淡水陸上

南西諸島各地の河川下流部でよくみられます。
砂質の干潟からマングローブ群落内まで、 本州のユビナガホンヤドカリと同じように、様々な環境で見られました。
間口の狭い貝でも利用するようで、上の個体のように海産の巻貝(マガキガイ)などを利用する事もありますが、
マングローブ内で見られた小型の個体では、ウミニナ類の殻などをよく利用していました。
比較的大型になるヨコバサミ類で、大型の個体ではチョウセンサザエなどをよく利用するようです。


大きめの個体。
(西表島産、10月)


南西諸島では広く見られる。
(西表島産、10月)




■ツメナガヨコバサミの鋏脚再生■

飼育していたツメナガヨコバサミが、コブヨコバサミの攻撃により鋏脚を失ってしまいました。
あわてて隔離しそのまま飼育を続けたところ、2ヶ月弱で再生しました。
その後もこの個体は飼育中ですが、3ヶ月に1回のペースで脱皮をしています。


(画像1)
1/23受傷直後


(画像2)
2/28再生を確認


(画像3)
3/9再生途中


(画像4)
3/12脱皮後




   

コブヨコバサミ
汽水域へもしばしばやってきます。宿にはカコボラを使用。(紀伊半島汽水域産、9月)

コブヨコバサミ

海域汽下汽上淡水陸上

伊勢湾、駿河湾沿岸、紀伊半島沿岸などでみられました。
内湾から汽水域にかけてみられる大型のヨコバサミ類で、淡水の影響がある場所を好むようです。
一般的にはあまり生息密度は高くないようですが、
条件にもよるのか、局所的に大量に生息している場所もあります。
飼育してみるとわかるのですが、非常に塩濃度の変化に対する順応力が優れていて、
短時間ならばかなり淡水に近い濃度でも平気なようです。
おそらく低塩濃度への耐性はユビナガホンヤドカリを上回るのではないかと感じます。
体が大きいため、大きめのツメタガイやアカニシなどの殻を背負っている場合が多く、
転がっているツメタガイにほとんどこのヤドカリが入っているということもありました。
本州の汽水域で、大型のヤドカリを見つけたら、ほぼ本種と思って間違いありません。


脱皮殻。
(紀伊半島産、1月)





ヨコバサミ
歩脚にはストライプが入る。(沖縄島河川産、12月)

タテジマヨコバサミ

海域汽下汽上淡水陸上

沖縄島の河川干潟にて見られました。
ツメナガヨコバサミと同所的に見られた沖縄産の大型のヨコバサミ類ですが、 今回1頭しか採れなかったので詳しい事はわかりません。
形態はツメナガヨコバサミによく似ていおり、ツメナガよりもやや塩濃度の高い水域に生息するようです。
宿にはチョウセンサザエを利用していました。
飼育してみましたが、コブと同じように汽水で充分長期飼育が可能なようです。


コブのお古に殻を換えました。
(沖縄島産、12月)


本種の同定に関しては、駒井智幸さんよりご助言をいただきました。




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