日本のオカヤドカリ






オカヤドカリ達の未来予想図

2004年夏、オカヤドカリの飼育が静かなブームを呼びました。
”癒し系ペット””真水だけで飼育できる”とか”エサはポップコーン”といった耳障りの良い謳い文句のもと、 仕掛けたのはペット業界ではなく玩具メーカーのトミーでした。
オモチャ屋さんの店先にはカラフルな飼育キットと共に、たくさんのオカヤドカリ達が並びました。
そして秋になり、今季の販売終了によりブームは沈静化したようです。
この夏売られたオカヤドカリの何割が生き残っているのかはわかりませんが、 このような売り方は動物虐待であるとの声も一部では聞かれました。
そのような考えは否定まではしませんが、 本サイトとしては、資源維持ができる範囲での生物の有効利用には反対しないとの立場から、 倫理的な意見は排除してオカヤドカリの抱える問題について考えてみたいと思います。
また、このブームによって、せめて1人でも多くの方がオカヤドカリの抱える問題について考える機会を増やす事になってくれていたらと思います。(2004年冬)

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<画像1>オカヤドカリは簡単に飼育できる。ペットとしての利用も今後増えるだろう。

先に放送された”素晴らしき宇宙船地球号”(テレビ朝日,2004.11.7放送分)では、オカヤドカリの生息を脅かす要因として、 漂着ゴミ(特に廃油)による汚染とともに、護岸や海岸道路による海岸と生息域との分離が挙げられていました。
海洋汚染の問題は全ての海洋生物にとって言うに及ばずですが、 もう1つの問題である人間生活による生息域の分離はオカヤドカリに限らず、このサイトでも紹介している陸棲イワガニ類やオカガニ類など、 陸域を生活の場とし、海との間を行き来する甲殻類達にとっては生存をも危うくする深刻な問題です。
これらの甲殻類は、生活の場である海岸林と浜辺、そして幼生を育む海が一体となっていなければその生活環を維持する事はできません。
しかし、護岸や堤防道路などは人間がそこに住む以上、なくてはならないものですし、 残すところは残す、開発しなければならない場合は環境への影響を考慮しながら、うまく折り合いを付けていく必要があるでしょう。
例えば対策として、沖縄県などの一部では海岸道路の下に小さなトンネルを通して、生息域と海岸の間を結ぶといった試みもなされているようですが、 ”よさげなものを作ったから終わり”ではなく、実際にオカヤドカリやカニ達が、うまくその小さな穴を見つけられるか? また、ちゃんと利用しているかといった予後の検証が大切だと思います。



<画像2>人間生活にとってなくてはならない堤防も、オカヤドカリにとっては大きな障壁となる。
(石垣島、2004.12月)

もう1つの懸念される可能性がある問題として、乱獲があります。 オカヤドカリ属については、序文で述べたように全種が天然記念物に指定されており、 特別な許可業者は時期、量を定めて採捕できますが、それ以外は採捕はできない事になっています。 しかし、実際にはペット用や釣り餌としてかなりの量が採捕されていると考えられます。
ただ、主産地である沖縄県におけるオカヤドカリ、ナキオカヤドカリ、ムラサキオカヤドカリの個体群については生息数は多く、 採捕によってすぐに生存が脅かされる危険性は低いと考えられます。
その他のオカヤドカリ属については、もともとの資源量の少なさもあってか、他種との混穫はあるとしても現在のところ商業的な利用は少ないようです。
つまり沖縄地区に限定した場合、これら3種以外のオカヤドカリ属についても、 個体群への採捕によるプレッシャーよりも、先に挙げた環境破壊による影響の方がより懸念されるのではないかと思われます。
一方、最大のオカヤドカリ類であるヤシガニは、採捕によるプレッシャーを強く受けていると考えられます。
この種の資源量は本邦全体を通して決して多いとは言えないのですが、現在のところ法的な規制は(宮古島など一部を除いて)殆どされていません。 さらに一部では食用として珍重されるため、少なからず採捕され、食用として供されています。
民間を中心に養殖も試みられているようですが、技術の確立までには至っていないようで、成長の遅さ(甲長10cmになるのに約5年)も手伝って、分布域内であっても特に人口の多い島では徐々に消えつつある種と言えるでしょう。



<画像3>不幸にして交通事故にあったヤシガニ。
人間生活と接点を持ったとき、彼らには常に危険がつきまとう。
(西表島、2001.10月)





<画像4>ホテルのロビーで宿泊客に配られるオカヤドカリ類。
オカヤドカリ属の採取には許可がいるはずだが、実態はこんなもの。
(沖縄島、2002.7月)









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