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誤同定とインボイス
ペットとしての歴史は割と古いのですが意外と知られていないのがオカヤドカリ。
我々一般人が生態や飼育等の情報を集めようとしても、なかなかいい書籍も少ないのが現状です。
ネット上で飼育情報等を公開されている方もあり、そのご努力には頭が下がります。
しかしネット上や文献を探していると、誤同定に出会う事があります。
非常に恐縮ではありますが、今回参考にさせていただいた文献の中で、印刷媒体に限って同定について気になるものを挙げてみました。
■峯水亮著,2000,海の甲殻類,文一総合出版
p.145:オカヤドカリとある写真2枚は、ナキオカヤドカリ。
p.146:ムラサキオカヤドカリとある写真2枚のうち上段は、オオナキオカヤドカリ。
p.146:ナキオカヤドカリとある写真は、ムラサキオカヤドカリ。
■池田啓総監修,大澤竜二ら編,2003,オカヤドカリ;週間天然記念物動物編42,小学館
p.20:ムラサキオカヤドカリとある写真は、オオナキオカヤドカリ。
p.21:下段ナキオカヤドカリとある写真は、ムラサキオカヤドカリ。
■横塚真己人著,2004,西表島フィールドガイド ;ニッポン里山探検隊シリーズ,人類文化社/オークラ出版
p.141:下段ムラサキオカヤドカリとある写真は、オオナキオカヤドカリ。
専門書ですらこのような事があるのですから、ネット上でもしばしば誤同定が見受けられます。
そもそも偉そうに記述していますが、筆者自身も以前このサイトでオカヤドカリの誤同定をしていたくらいです。
このようにオカヤドカリ類の誤同定が意外に多いのは何故なのでしょうか。オカヤドカリ類は本邦では決して多くは無い7種類程であり、同定も他の生物と比べてさほど難しくないにも拘わらず、
正確な情報が必ずしも伝わっているとは言い難く、誤った元ソースがネットなどで伝言ゲームのように広がってしまっていたり、
また一部の種においては、成長過程で色が変化したり、色彩表現形質の幅が大きいというのもその原因かもしれません。
そういった事を考えると、今の段階では誤同定もある程度仕方ないかもしれません。
しかし、ネットで情報を公開されている皆様のごく一部ではありますが、誤同定したうえで、それを根拠として、
オカヤドカリを販売している業者などに対して、
”海外産””希少種を違法に販売”などといった難癖を付ける方も見受けられるようです。
法に触れるような行為を行う業者は糾弾されて然るべきですが、
それは確固たる確証がなければ行うべきではなく、営業妨害とも取れるこのような行為は、
オカヤドカリを守りたいという善意の発想から出た行動だったとしても、逆に我々自身の信用を失墜させる事にもなりかねません。
販売業者を擁護するつもりはありませんが、正直決して見ていて気分のいいものではありませんし、
オカヤドカリについて知識も情熱もある方々がそういう行動を取られているのは残念でなりません。
ぜひ冷静な対応をお願いしたいと思います。
また、このサイト自身にも同定などで問題ある場合は遠慮なくご指摘ください。
これら誤同定とは別に、販売業者によるインボイス(販売名:流通時に伝票に付けられる名称に由来するらしい)というのがあります。
例えばメキシコサンショウウオ(アホロートル)を”ウーパールーパー”と呼んだりするアレです。
誤同定が意図しないものであるのに対し、これはある意味確信的であると言えます。
生物の和名というのは、便宜上図鑑などで使われる標準的なものがあるのですが、法律で決まっているものではなく、
インボイスはあくまでも販売業者が命名する商品名というような性格のものですから、
基本的にはどんな名前を付けてしまっても良く、それについて我々がとやかく言う類の話ではないのですが、
中には消費者が混乱してしまうのではないかと思えるものもあります。
最も紛らわしいものはナキオカヤドカリで、”鳴き”オカヤドカリであるとする説を引用して、
”実際に鳴いた”オカヤドカリのみを”ナキオカヤドカリ”として販売するものでしょう。
鳴くものを”ナキオカヤドカリ”と定義してしまうと、和名のナキオカヤドカリだけでなく、
同じように発音をするムラサキオカヤドカリ等の種類も”ナキオカヤドカリ”という事になってしまうかもしれませんね。
これは、実際の和名とインボイスが、同じ名でありながら命名基準が異なる為に出てきた混乱で、
できれば解消した方が良いとは思いますが、長年この名で使用されてきた事などを考えると、なかなか難しいかもしれません。
また、オカヤドカリを種類ではなく”ホワイトオカヤドカリ””オカヤドカリ(白系)”といったように、
色で区別して高価な価格で売買されている場合もあり、価値観は人それぞれですが購入者自身がそれを見極める目を持つ事は大切ではないかと感じます。
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