林檎の村
最初に出てきた1頭。(西表島、2005.10月)
オカヤドカリ、わらわら
これは西表島で爬虫類などを捜して夜間ハーピングをしていた時の話です。 海岸から2kmくらい離れた道路脇を探索していると、1頭の大きなオカヤドカリに出くわしました。 大型のオカヤドカリはかなり海から離れた場所で見つかる場合も多いので、その事はさほど不思議には感じなかったのですが、 1頭いるということは、近くに他の個体もいるかもと思い、周辺を捜してみました。 すると、いるわいるわ、大型のオカヤドカリがわらわらと出てきました。 コンクリートの上ではほぼ等間隔に並んで水を飲んで?いたり、殻の取り合いをしたりとまさにパーティー状態です。 どうやら道路で切り通しとなった斜面から湧水があり、その周辺に高密度で棲息しているようです。
そこここにいる。(西表島、2005.10月)
全てオカヤドカリ。(西表島、2005.10月)
わらわら状態。(西表島、2005.10月)
水際で給水中?(西表島、2005.10月)
林檎を背負ったオカヤドカリ
とりあえず写真を撮っていて、ふとある事に気がつきました。 オカヤドカリの背負っている殻が、全部同じ巻貝なのです。 沖縄島などでは、このオカヤドカリはアフリカマイマイの殻を多用することが知られていますが、 アフリカマイマイが帰化していないここ西表島では多くの場合チョウセンサザエを使っています。 しかし、この場所のオカヤドカリは・・・。 何と全ての個体がスクミリンゴガイという淡水貝のみを背負っていたのです。 そういえば、最初に見た個体の宿もスクミリンゴガイでした。 これは、と思い先ほどの湧水の先を辿ると、少し下手の道路脇の側溝に流れこんでおり、 案の定その側溝にできた水溜りには多数のスクミリンゴガイが徘徊していました。
スクミリンゴガイ。(西表島、2005.10月)
リンゴガイの卵塊。(西表島、2005.10月)
水溜りにはヒメアマガエルも。(西表島、2005.10月)
したたかに、しなやかに
翌日、再確認のために同じ場所に行ってみると、パーティー会場にはオカヤドカリの姿はなく、 すっかり静かな朝を迎えていました。 しかし、例の側溝の中を覗くと壁面には多数のスクミリンゴガイのピンクの卵塊が付着し、 異様な光景を呈していました。 スクミリンゴガイ(通称ジャンボタニシ)は本州などでも多くの場所で帰化しており、 稲などの植物を食害するため問題となっている淡水巻貝ですが、 西表島でもそれは例外ではなかったようです。 後日調べたところ、西表のスクミリンゴガイも本土同様にかなり以前から帰化してしまっていたようです。 そんな状況を知ってか知らずか、西表のオカヤドカリたちはこれ幸いと、この場所に”林檎村”を作り上げていました。 それにしても、アフリカマイマイといいスクミリンゴガイといい、 帰化種をも巧みに利用して生き延びてきた、オカヤドカリのしたたかで柔軟な一面を見たような気がしました。
翌朝撮ったスクミリンゴガイ。 (西表島、2005.10月)
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